2009年06月23日

「アイシテル〜海容〜」第10話(最終回)

「海容」とは大きな度量で相手の失敗を受け入れること、相手を許すことという意味だ。そのタイトルにつけられた言葉の意味が作品の方向性であるのなら、まさにそういう最終回であったと言える。
清貴(佐藤詩音)の墓前で土下座をして謝罪するさつき(稲森いずみ)の肩にそっと手をおく聖子(板谷由夏)、施設を退所し小学生としての通常の生活に戻る智也(嘉数一星)と、それを理解する周囲の大人たち。更に、さつきが1年後に第二子を出産するシーン。小さく幼い弟を目の前にして、初めてその命の重みを感じ、悔いて泣き崩れる智也。最後は互いの家族が、対岸を繋ぐ橋の上を互いに気づかないまますれ違っていった。それぞれの進むべき路に向かって、より絆を深めた家族が歩み、生きていくという表現だろうか。

小学生が小学生を殺してしまうというインパクトのある出来事を発端にしたドラマではあったが、最後まで衝撃性ばかりをクローズアップして視聴者の注意を引くようなあざとさを見せることなく、じっくりと地道に双方の家族の心の変化を描いていた姿勢は非常に好感が持てた。登場する3人の母親(稲森、板谷、田中美佐子)の熱演もあり、随所で共感することも多くあった。

ただ一点、エンドロールで出演者のクランクアップの花束贈呈シーンを延々と流していたが、あれは必要だったんだろうか?出演者・制作側の自己満足?物語を終え余韻に浸る視聴者に対して、むしろあれはサービスではなく、少なくとも私は水を差されたように感じたのだが。あれだけはいただけなかった。残念。(むさし)

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2009年06月16日

「アイシテル〜海容〜」第9話

審判の結果、智也(嘉数一星)に下された決定は自立支援センターへの送致。さつき(稲森いずみ)と和彦(山本太郎)は、その直前に読み上げられた、被害者の母親・聖子(板谷由夏)からの手紙に書かれた「清貴(佐藤詩音)の分まで生きて、自分の犯した罪の重さを知ってほしい」という言葉に、親として一生をかけて智也を更正させる決意をしたのだった。
一方、妻の聖子が加害者家族に対して手紙を書いた事を批難した秀昭(佐野史郎)も、富田(田中美佐子)に、それが聖子なりの「乗り越え方」であると云われ、怒りの持ちようを見つめ直すのだった。

「一生背負い続ける罪」「一生をかけて償う」「一生をかけて…」何度となく繰り返される「一生」という言葉。私達が普段、何気なく使う時は、少々物事を大袈裟に装飾する程度のニュアンスでしかないのに、このドラマからは、主人公の幼さも手伝って、その重さや長さがよく伝わってくる。10歳の子にとっての「一生」とは、おそらく想像も及ばないほどの時間だろうと思う。

ドラマは次回(6/17)が最終回。15分拡大版。
一件落着、はたまたハッピーエンドという終わり方とは無縁の題材ゆえに、視聴者に対して、いったいどのような訴えを残すのだろうという関心で今はいっぱいだ。(むさし)

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2009年06月06日

「アイシテル〜海容〜」第8話

智也(嘉数一星)は、両親(稲森いずみ、山本太郎)が、自分の犯した罪の償いを一生をかけて共に背負う覚悟を示したことに、心を動かされ、硬く口を閉ざしていた事件の「動機」を語り始める。
清貴(佐藤詩音)を傷つけた行為そのものは、かなり衝動的だったが、その引き金になったのは、無邪気な清貴に、自分の母親や家族を「変」だと言われたことだったのだ。
天真爛漫に親を自慢することが清貴の愛情表現なら、智也がこれまで動機を打ち明けられなかったのも母親を庇うという愛情表現。どちらも同じ親への愛情なのに、その僅かな差が生み出してしまった残酷な結果が哀しい。

このドラマは加害者・被害者、善悪という単純な切り口で一方を責める構図では決してなく、親子の愛情をベースに双方の家族の苦しみ、葛藤、揺らぎなどを、その当事者達の目線で丁寧に描いているものだ。どちらも決して特殊な環境下の家庭ではない、そのありふれた身近さ故に、「もしも自分がいずれの立場に置かれるようなことになったら?」というリアルな思いが度々過ぎる。自分だったら、どちらの状況にせよ、同じ行動、同じような覚悟ができるだろうか。

折りしも、この放送のあった水曜日、茨城県土浦の通行人無差別殺傷事件の公判で「死刑になりたくて人を殺した」という被告の発言がニュースで流れた。狂気に溢れた現実世界の出来事を前にすると、ドラマはかなり「優等生的」な展開をしているが、それでも、奪ってしまった相手の命の重さを知り、同時に罪を実感し、そしてきちんと生きて償い続けることを訴えかける内容に、ドラマとしての意味と役割はある、と思いたい。(むさし)

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2009年05月20日

「アイシテル〜海容〜」第3〜5話

事件の当日、二人の少年が関わりを持っていったのは、トイレに行きたいのに家族が留守で家に入れない清貴(佐藤詩音)を、たまたま通りかかった智也(嘉数一星)が、気遣って声をかけたことが始まりだった。優しい気持ちから始まった少年達の出会い、それが何故、「殺人」という結末に流れ着いてしまったのだろう、と、どちらの家族も、それぞれの立場で真相を求めているのが痛いほどわかる。

センセーショナルな事件を題材にはしているが、これまでのところでは、それらを興味本位に描くだけの事はせずに、親子や家族の関係の大切さや難しさについて比較的ゆっくりと丁寧に展開させているようだ。明るい内容ではないが毎回見入ってしまう。この家族がたどり着く結論を見届けたい。

キャストでは、加害者側の立場にも理解を示し支える家裁調査員・富田役の田中美佐子と、そして担当刑事のダンカンがいい味を出している。(むさし)

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2009年04月29日

「アイシテル〜海容〜」第2話

犯人が小学校5年生の少年であったことが公表され、愛息・清貴(佐藤詩音)を失った被害者側の家族を更なる衝撃が襲った。そして清貴の母親・聖子(板谷由夏)が友人とのランチで帰宅が15分遅れたその隙の事件だった事を、興味本位に書きたてるメディアにより、被害者でありながら、聖子は自らを執拗に責め追い込んでいた。また加害者側の野口家のマンションにもマスコミが殺到し、ドアに落書きがされるなど、嫌がらせが相次ぐようになる。一方、事件の担当となった家裁調査員の富田(田中美佐子)は、智也(嘉数一星)と面談し、徐々に心を開かせようとしていた。

こういった事件が起こった場合に起こり得るそれぞれの状況が克明に描かれた第2話だった。
事件の発表後にも関わらず、とりあえず出社しようとした和彦(山本太郎)が、集まったマスコミや野次馬の多さに驚く場面や、そんな中で告別式に参列しようとしたさつき(稲森いずみ)の行動は、世間が加害者に抱く認識を少し甘く見過ぎてやしないか?と、最初感じたが、しかし、或いはそれはなかなか現実を認められない当事者というものを表現していたのかな、と思い直した。
愛息を失って憔悴している聖子を気遣う娘の美帆子(川島海荷)が健気だ。が、今の聖子にはまったくそれが見えていない。遅かれ早かれそのことで美帆子がさらに傷つく展開にもなりそうだ。(むさし)

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2009年04月22日

「アイシテル〜海容〜」第1話

小学5年生が見知らぬ小学2年生を殺害するという事件を題材にしたドラマが始まった。
そういう出来事が発端となるドラマだというのは事前の番組情報で知らされているだけに、第1話で映し出される、その展開に至るまでの双方の家庭の「普通の日常風景」がなんとも切ない。けれど、なかなか帰って来ない息子・小沢清貴(佐藤詩音)が、警察の捜査で遺体で発見されたと知らされた時の母親・聖子(板谷由夏)の悲鳴、一方で、「あなたの子供に殺人容疑がかかっている」と突然尋ねてきた警官に唖然としつつ、その物証が部屋から見つかった時の衝撃にへたりこむ野口智也(嘉数一星)の母親・さつき(稲森いずみ)など、母親役の迫真の演技に引き込まれ、辛い展開ながら目を離せなかった。

加害者側となる稲森いずみ、山本太郎演じる野口家も、また大切な子供を失うことになる小沢家(板谷由夏・佐野史郎・川島海荷)も、ごくごく普通の家庭として描かれている。つまりドラマで描かれる出来事は決して他人事ではないのだということなのだろう。事件、事故に関わらず、いつ何時、私達がそのどちらかの立場に置かれるかなどわからないのだ。そういう思いでこのドラマを見るならば、尚更この作品が打ち出していく結論には非常に大切な意味と役割があるのではないか。
センセーショナルな事件からスタートする物語ではあるが、テーマはあくまで家族の絆や親子の愛情だという。「海容」というサブタイトルに相応しい結末となるか…今期期待するドラマのひとつだ。(むさし)

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