2008年09月16日

「Tomorrow」最終回

財政難に苦しむ地方都市の象徴として「市民病院」を取り上げ、そのあり方を問う主題はよかったと思う。社会問題を「物語」を通して広く周知するのもドラマの役割のひとつだろうと思うからだ。

とある町の市民病院が、巨額の赤字解消の為に金の稼げるセレブ病院として再建されようとし、それが上手く行きそうにないと判断されると、今度は一転、リゾート開発となり病院閉鎖に追い込まれた。このドラマでは、熱血看護士・田中愛子(菅野美穂)と、一度は医師の道を捨てていた森山航平(竹野内豊)を中心に、様々な状況で運ばれてくる患者とのかかわりを通して、いかに地域医療が大切かという事を訴えてきた。全体的に「優等生的」な展開が続き、しかも患者はほとんど身内ばかりで(最後はとうとう愛子まで重傷を負う羽目に…)、そのあたりにはいささか作りの甘さというか、安易さを感じた。が、一方で男女を主役に据えた割には「恋愛」のベタベタした感情を基本的に排し、人の命を救うための信頼関係に徹していたのはよかった。最終回のラストでちらっとそういう表現はあったが、あの程度ならむしろ爽やかで納得がいく。

結局、市民病院は航平の提案で「オープン病院」として再開する。地元の開業医に病院の医療機器などを開放し、互いに活用しつつ地域医療を発展させる為のシステムだ。当初、敵役で登場した遠藤(緒川たまき)も、気づけば笑顔満開で病院で働いていたりと、これまでの登場人物全てに幸せが降り注いだかのような大団円は個人的には嫌いではないのだが、テーマが現代に溢れている問題だけに、もう少し“現実的”な「理想」や「希望」を描くこともできたのでは、と少々疑問も残る。(むさし)
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2008年08月31日

「Tomorrow」第2話〜8話

市町村管轄下の病院機関が、その経営の厳しさから民間に買収されたり、また専門科の閉鎖やドクター不足などが招く問題が決してフィクションではなく日々のニュースに日常的に取り上げられるようになってしまった今、こういった問題を扱うことはドラマとしても意義のあることだと思う。

さてドラマは、経営危機に陥った市民病院を脳外科専門の高度医療施設、いわゆる「セレブ病院」として再建しようとする圧力に対して、地域に根ざした医療本来の目的を叶えられる病院として再生しようと奮闘する現場医師達の物語として展開している。しかしその「奮闘」という言葉が似合わないほど竹之内豊演じる森山航平は、なんとも静かな主人公だ。好意的に言うなら「秘めた情熱を醸しだしている芝居」と言えなくもないが…その分、全体的には地味な作品になっている。と言って、こと有るごとに喚いたり、叫んだり、怒鳴り込んだり…という派手な演技で安直に「ドラマチック」な雰囲気を作り出すよりは、ある意味リアルかもしれないが。もっとも菅野美穂をはじめ、比較的キャリアのある役者で固めているキャスティングはバランスがよく安心して見ていられる。看護師長役のエド・はるみも好演。
シナリオ的なツッコミは、あまりにも身内(というか、主要キャスト)が患者役になることが多いことだろうか(苦笑)。その方が問題を深刻に見せやすいのだろうが、ご都合主義丸出しなのはどうだろう。

物語は終盤に差し掛かり、いよいよ病院は閉鎖に追い込まれる。その後いかなる方法で再開(再建)にこぎつけるのか。せっかくドラマなのだから、できれば地方医療の現状に希望が持てるような結末を用意してもらいたいものだ。(むさし)
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2008年07月07日

「Tomorrow」第1話

病院を舞台にしたドラマは1クールに1本とまでは言わないが、それでもかなりの頻度で登場する。「Dr.コトー診療所」「医龍」「ブラックジャックによろしく」「ナースあおい」「救命病棟24時」「白い巨塔」…ふと思いつくだけでもまだまだ行けそう。監察医を扱った「きらきらひかる」というのもあったし、え?「野々村病院物語」…まぁ世代によってはそれもありで(笑)。ま、それらの全てを見てきたわけではないものの基本的に「病院もの・ドクターもの」が好きだ。手塚治虫のブラックジャックは子供の頃から愛読書だったし、もちろんERも。
…というそれだけの根拠で今期はこの「Tomorrow」をレビュー候補に。まだ見てはいないが、もちろん「コード・ブルー」も見るつもり。

さて、こちら「Tomorrow」は地方都市の市民病院を舞台に、現代が抱える医療問題の一つ「潰れゆく病院」の再建に立ち上がる医師達の話。
過去にあった「何か」を理由に8年前に医師として働くことを辞めたのは役所勤めの主人公・森山航平(竹野内豊)。そんな彼の前に現れ、やがて航平が再び白衣を着るその動機を与えるのが看護師・田中愛子 (菅野美穂)。快活で正義感が強く権力に対しても怯まないような強気な性格設定はなかなか気持ちがいい。そして病院再建のために派遣されて来た脳外科医・遠藤紗綾(緒川たまき)が提案する病院の改革案、すなわち「金の取れる医療活動を優先する」という考えに立ち向かうといった設定なのだろう。ただ遠藤の役回りは単なる敵役には思えない。「お金」をためらいも無く口にはするものの、いわゆる拝金主義的なそれとは違い、彼女なりの「何か」があってそういう経営理念にたどり着いたと考えたいが…それは期待しすぎか。

何となく全般的に地味な印象を受けるものの、祭り会場での爆発事故、運ばれた患者の数に騒然とする病院内、止むにやまれず患者の気管切開を看護士の愛子がしてしまうくだりなどは緊迫感のある絵が撮れていたし、ストーリーや芝居そのものは非常に安定しているので、そういう点で高評価に値するスタートだったと思う。(むさし)
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