2008年05月26日

「パンドラ」第8話(最終回)

かつて人類を容易く死に追いやった様々な疫病も、新薬の発見や開発で、現在においては治療が不可能ではなくなっているものも多い。ガンにおいても、発見のタイミングや治療方法によっては不治の病ではないという認識が広がりつつあるのも実状だ。このドラマで描かれたような「全てのがん細胞に効果がある特効薬」という物も、近年そう遠くない時点で本当に発見されるのかもしれない。或いはこのドラマのように、既に開発が極秘裏に進んでいるのかもしれない…。
そんなことをつい想像してしまうほど、この井上由美子が書いた「パンドラ」というドラマの脚本はリアリティに満ちていて圧巻だった。WOWOWが初の連続ドラマとして放ったこの企画は、その「クオリティ」という点で高評価されることは間違いない。有料放送番組であることから、数字的な結果は民放には届かないだろうが、今後DVDソフトなどを通して、じわじわとこれを見てくれる人が増えていくといいなぁと素直に感じた良作だった。続きを読む
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2008年05月24日

「パンドラ」第7話

自分が治験者第1号であるという事実を口外しないことを条件に、「大臣からの見舞金」と共に愛美(谷村美月)は病院を退院したが、その後には行動を監視するかのように朋田(平田満)の車が不気味に控えていた。一方、鈴木(三上博史)と大田黒(國村隼)は新型抗がん剤“パンドラ”に関する緊急会議のため厚生労働省に呼び出されていた。薬の説明を求められた席で鈴木は唐突に総理含め各要人の前で諸条件を提示する。すなわち薬の開発があくまで鈴木自身によるものであったことを公表し、大学病院内に今後自分専用の研究室を設置すること、最後に医学部長の大田黒をこのプロジェクトから外す事だった。この条件内においてのみ、薬の開発に協力するという。周囲はざわめくが薬の開発に必要なDNAの塩基配列のデータが、盗用を防ぐため鈴木自身の頭の中にしか記録されていないという発言に駆け引きを受け入れざるを得ない。大田黒は憤懣やるかたない思いで退室するのだった。

この場面、本来なら欲や利権で凝り固まった人間達に対して成敗する如くのシーンであり、ある意味では「すっきり」という気分も覚えそうなものだが、私はむしろ、純粋だった鈴木にここまで言わせてしまった見えない力に対して嫌悪を感じた。自分に冷たかった元妻を敢えて呼び出し、手酷く突き放すような復讐的な行為もまた然り。

愛美が関係している殺人事件の真相が近づくにつれ、彼女にもまた危険が迫っていて、太刀川(山本耕史)は小夜子(小西真奈美)と共に、自室に愛美とBFのマモルを匿う。が、彼女は鈴木を呼び出した夜の路上で、朋田の車に撥ねられてしまった。彼女の生死も、関わった人物全ての今後の行方も、そして何より開いてしまったパンドラの箱の落とし前も、いよいよ明日(25日)の最終回で決着となる。楽しみだ。(むさし)
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2008年05月12日

「パンドラ」第6話

新薬の発見が政府の知る所となり大きな圧力となって関わってきた以上、研究を最後までやり遂げるには深見大臣(小野武彦)らの指示に従うより道はないと悟ったのか、鈴木(三上博史)はその態度を豹変させる。恩師・緑川(山本圭)の忠告にも耳を貸さず、おそらくは愛情すら感じていた筈の愛美にまで「キミはただのモルモットなんだ。」と冷酷な言葉を吐き捨てる鈴木に、小夜子(小西真奈美)は恐怖を隠せない。その恐怖はついに緑川の死となって小夜子を襲う。鈴木に研究を止めさせるべく病院内を探し回っている最中に持病の心臓発作を起こしてしまうのだが、駆けつけた大田黒(國村隼)に断固抗議するかのようにその治療を拒否したからだ。

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2008年05月07日

「パンドラ」第4話〜第5話

あらすじは公式サイトで(手抜きご容赦!)

第4話は展開そのものは緩く、むしろ主人公・鈴木(三上博史)の癌特効薬にかける思いや愛美(谷村美月)の犯罪の告白などキャラクターの内面に触れる場面に重点をおいて描かれていて、そういう意味で高揚感が少なく、やや中だるみか?と思ったのだが、続けて見た5話の急展開に揺さぶられその構成に唸った。

新薬の発見がいよいよ政府の知る所となり、その開発と利権を国が確保する為に愛美の関わる殺人事件でさえうやむやにしてしまおうと公安を動かすなど、純粋な気持ちで新薬開発を続けてきた鈴木も、その巨大な圧力に抗えずジレンマに陥る。ドラマを客観的に見ている私ですら、そのリアルな強引さには恐怖を感じるほどだった。
ここまでドラマ全体のナレーション的な役割を担っていた新聞記者の太刀川(山本耕史)が、恋人の小夜子(小西真奈美)から極秘で預かった鈴木の研究データを週刊誌にリークしたことで物語の渦中へと巻き込まれ始めたのも大きな変化で今後の波乱を予感させる。
また、さりげなく描かれていた殺人事件の被害者にも、実は港東大学病院が絡む薬害問題の関係者といういわくがあったり、またその殺人事件の発端となった部分に深見大臣(小野武彦)の秘書・沼部(相島一之)が関わっていることなどもちらつかせ、さらに的場(柳葉敏郎)が癌患者であることも自ら告白させた。これまでの全てのシーン、セリフのひとつひとつにそれぞれ伏線があり、意味があった事に今更ながら驚いてしまう。

全8回のこのドラマ、早いもので残りは3話だが、どこに最大の盛り上がりをぶつけてくるのか、まだ無限に広がって行きそうな混沌とした展開をどう畳み込むつもりなのか、脚本家の手腕にわくわくしている。(むさし)

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2008年04月26日

「パンドラ」第3話

医学部長・大田黒(國村隼)への傷害容疑(実は大田黒の自傷行為による狂言芝居)で逮捕された鈴木(三上博史)を独断で釈放した的場(柳場敏郎)の狙いは、彼を泳がせて水野愛美(谷村美月)の手がかりを得ること。釈放された鈴木は急ぎ朋栄ホスピタルに戻るがそこに愛美の姿はなかった。彼女は身の回りを嗅ぎ回る病院理事長・朋田(平田満)を脅して自らを外へと連れ出させたのだった。向かった先にボーイフレンドを呼び出し朋田から金品を奪い取る為に。

鈴木を取り囲む人間達が放つベクトルがそれぞれの欲望に向かって伸びていく第3話。続きを読む
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2008年04月20日

「パンドラ」第2話

パンドラの箱から最初に飛び出したのは「欲望」という名の災厄

癌の特効薬が一人の医師・鈴木(三上)の長年の研究によって発見された。が、当然の如く周囲はまるで相手にしない。一刻も早く実用化したい彼は功を逸るあまり未承認のまま治験に踏み切ってしまったのだが、その結果は末期癌の癌細胞をわずか数週間で全滅させるという驚くべきものだった。そしてそれまで半信半疑だった周囲の人間達が、この治験の成功報告を受け「名誉」「面子」「功名」「金」などそれぞれの思惑でにわかにうごめき出す。同僚医師の飯田小夜子(小西真奈美)は特許申請を手伝うと近寄り、医学部長の大田黒(國村隼)は突然の厚遇でもって彼を誘いかけ専用ラボや教授待遇の話を持ち出す、治験に協力した外部病院の理事長で元製薬会社の専務・朋田(平田満)も、治験内容に疑惑と期待を抱き確実に近づいてきている。

一方、癌特効薬の利権争いと平行して展開されるのが援助交際が原因と見られる殺人事件。容疑者としてマークされているのが治験患者でもある水野愛美(谷村美月)という少女。2話のラストではこの愛美が入院先の病院から何者かに連れ去られたところで続く、となる。

展開としては予想の範疇。思った通りの人物が思った通りの「欲」を露にして鈴木に近づいてくる様には全く意外性はない。が、それでも集中して見ていられるのはやはり芝居の安定感か。また主人公の鈴木があまりにも治験結果を簡単に他人に報告する様子やそのデータ管理は「無用心」に思えてならなかったが(苦笑)…けれどそこを慎重に読み過ぎるキャラでは「鈴木」に成り得ないだろうし、そこがあくまで彼が純粋に研究に没頭していたという表現なのかもしれない。そういう点で人物がしっかり作りこまれているのはさすがだと感心。
ところで、恵まれない家庭環境の中で小児癌を再発し余命半年とも言われ、挙句、母親にも見捨てられた水野愛美役を演じているのは、ベテラン勢の中の唯一の若手・谷村美月。芝居の硬さはまだまだあるが、キレイな顔立ちと力強い目で実に印象深い存在になっている。役柄上でもストーリに重要に絡んでくるだけに大注目!

さて次にパンドラの箱から飛び出すのは「裏切り」という名の災厄、だそうだ。意外な裏切りも含めて期待している。(むさし)

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2008年04月09日

「パンドラ」第1話

前宣伝などの先入観を一切入れずに観ました!
面白かったー!!
さすがWOWOWが力を入れているだけあって、豪華出演陣といい飽きさせないストーリー展開といい秀逸なドラマですね。

あらすじ詳細はむさしさんが語って下さっているのでお任せするとして、個人的にツボだったのは山本耕史クンのウィンク♪(笑)
もうあれだけでお腹いっぱい!観た甲斐があったというもの(笑)。

一度開けたら取り返しのつかないことになる「パンドラの箱」。
人類の飽くなき挑戦は、それ自体が“人間の欲”にも繋がる紙一重のものだと思うんです。
ノストラダムスやアインシュタインに代表されるように、凡人にはおよそ考えつかないことをやってのける人種が存在し、それは現代におけるクローン開発にも繋がっている。
純粋な情熱が、いつしか歪んだ欲望あるいは倫理や道徳に抵触するような事態をも引き起こしかねない。

今回の抗ガン新薬開発は、それ自体は何ら倫理に反していないピュアな志から発生しているものですが、己が望まなくともそれがいつしか多くの人々の私利私欲に翻弄されていくだろうことが見え隠れする壮大な第1回だっただけに、回が進むにつれ小ぢんまりと纏まっていって欲しくないなぁと、期待半分不安半分の気持ちです。

…とはいえ、第1回は無料配信でしたが次回からはWOWOW加入者のみの視聴。
残念ながらワタクシWOWOWには無加入なので、ここは涙を飲んでむさしさんの感想レポをお待ちする所存です。
うっわーん!WOWOWったら上手いことやりやがって!ちっくしょー。
むさしさーん、「託す」!!(鹿の使番)
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2008年04月08日

「パンドラ」第1話

パンドラ(WOWOW)

有料放送ゆえに一般には広く知れ渡ることが少ないが、これまでもクオリティの高い単発ドラマを制作してきたWOWOWによる初の連続オリジナルドラマ「パンドラ」。脚本に「白い巨塔」「14才の母」「GOOD LUCK!!」」「まちべん」などを手がけた井上由美子を迎え、三上博史、柳場敏郎、小西真奈美、山本耕史、谷村美月、平田実、國村隼、小野武彦らの豪華かつベテラン役者陣を起用したあたりにも、第1弾という気負いと意気込みを感じる意欲作で、今回はまた同局の番組ガイド誌だけでなくインターネット・各雑誌でも詳細なPR展開をしていたので私だけでなくその注目度は高かったのでは。

抗がん剤の研究に18年もの歳月を費やしてきた港東大学病院の内科医・鈴木秀樹(三上)が、ある日マウスの実験データに驚異的な数値の変化を見出したことから物語は始まる。その実験の成功が意味するものは全てのがん細胞の撲滅に有効な人類にとって夢の「特効薬」が出現したということなのだ。無論、初めは医学部長(國村)からも同僚(小西)からも相手にされない。が、その発見が「本物」であるとわかった途端、周囲が激変していく。功績を狙う上司、同僚、マスコミ、利権目的の製薬会社、そして国家…。

とにもかくにもテンポがいい。CMがないこのドラマは初回の60分間でいかに手際よく登場人物を紹介し、相関図を視聴者に描かせ、さらにストーリーに引き込ませるかが鍵だと思うが、その点がまず合格。人物紹介がメインであったのは否めないが、1時間の中で一気にプロローグ部分を描き、次回から大きくうごめき出すであろう予感を十分に与えて「続く」とするあざとい構成も見事だった。さすが井上女史。(ちなみに初回は無料放送としておきながら2回目以降を見たい人はWOWOWに入ってね♪といういやらしー作戦も…個人的にはあえて否定はせず/笑)

キャストも素晴らしい。純粋ゆえの変人ぶりを熱演している三上博史然り、世渡り上手な女医・飯田小夜子をさらりと演じる小西真奈美、物語に食い込んでくる殺人事件を担当する刑事・的場役の柳場敏郎などは、同じ刑事役でも彼が「踊る…」の室井であったことをすっかり忘れるほどの泥臭さでもって役に入っている。芝居に不安のない俳優で作られているドラマって贅沢だなぁと実感。それぞれの役が善悪、欲望といった様々な切り口で変貌していく様を想像するのもこれまた楽しい。

と、まぁ何だかべた褒めだが…願わくばこの初回の勢いとクオリティが最終回まで維持されますように。WOWOW信望者というわけじゃないけれど、こういう製作姿勢が先々評価されて安易なドラマ作りに一石を投じるくらいの役割を担える作品として残って欲しいと思う。

タイトルの「パンドラ」は“開けてはいけない箱”という神話に所以するキーワード。先走り過ぎた医療がもたらす結果は幸福か絶望か?実際に世にあふれる医療を中心とした社会問題や欲望の醜さを織り交ぜつつも、その中に人の美しさや命の崇高さを見出して貰えれば、と言うのは脚本家の談だ。(むさし)
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